患者さんに対してどのような看護を行っていますか?
緩和ケアセンターで、主に外来部門を担当しています。
他の診療科の先生が病状説明や治療の選択について告げられるときは、私も同席します。告知された直後はショックが大きくて当然だと思いますが、衝撃を強く受けた患者さんの場合、その日は安全に帰れるようサポートし、お話は後日ゆっくり聞かせていただくようにしています。再発の場合や、治療の選択肢がなくなってきた場合も同じようにつらいと思います。
しかしそのような状況の中でも、みなさんご自分を持っていらして、それぞれに大切にされていることがあります。そして、自分らしく生きていく力を持っていらっしゃいます。その方が大切にされていることや思いをすべては理解できなくても、理解しようと務め、共に歩んでいく一員として支援していきたい思いを、患者さんにお伝えするようにしています。
緩和ケアチームの立ち上げ当初から携わっているそうですね。
市立病院に入職したのは2000年で、その頃から病棟でがん患者さんの看護をしていました。当時はまだ加治屋町に病院があり、患者さんと一緒に甲突川へ花見に行ったり、大切にされているイベントのサポートをしたりしていました。緩和ケアチームという言葉こそありませんでしたが、やっていたことは緩和ケアだったと思います。
その頃、がん医療をしっかり学びたいというきっかけをくれた患者さんとの出会いもあり、九州初となる久留米大学の 認定看護師教育センター 緩和ケア分野 の第一期生として半年間学び、2009年に緩和ケア認定看護師を取得。同じ年に緩和ケアチームの立ち上げにも携わりました。
患者さんやご家族へのメッセージをお願いします。
チームでサポートできる体制がしっかり整っていると思います。スタッフの誰かにお声をかけてくださったら、それがチーム全体にきちんと伝わり、全員で治療をサポートできる体制になっています。不安なことや困っていることがあれば、どうぞお気軽にお声をかけてください。
がん医療を目指す看護師へメッセージをお願いします。
この仕事に携わっていなかったら、出会えなかった出会いがあると思います。患者さんは人生経験の豊かな方が多く、自分の人生について語ってくださいます。その方がどんな人生を送ってきたのかと想いを馳せ、そしてどんな最期を迎えたいのかをお聞きして支えることは、自分もその患者さんの人生の一部を過ごせることになるのではないかと思います。
がん治療はそのような深いところまで携わることができますし、そこまで携われる覚悟のある人が、この仕事に向いているのではないかと思います。