小児外科
小児外科のご紹介
こどもの外科疾患には、先天性(生まれつき)のものや小児期に特有のものが多く、成人の一般外科とは異なったアプローチや診断、治療が必要です。これらの診療に精通した外科医が私たち小児外科医です。基本的には生まれたての新生児から中学生までを対象としていますが、小児期に手術を受けた成人の診療を行うこともあります。対象となる疾患は多岐にわたり、脳脊髄、心臓、骨を除き、頭頚部から泌尿器までカバーしています(詳細は日本小児外科学会ホームページ http://www.jsps.or.jp/disease-to-treat をご参照ください)。扱う疾患の中で多いものは、鼠径ヘルニア(脱腸)、停留精巣、臍ヘルニア(でべそ)、急性虫垂炎(盲腸)などですが、新生児も含め緊急性の高い疾患も多く、24時間365日対応で診療を行っています
当院では腹腔鏡や胸腔鏡を用いた鏡視下手術を積極的に取り入れており、鼠径ヘルニアや虫垂炎手術は可能なかぎり腹腔鏡下に行っています。手術に際してはご家族や本人への丁寧かつ十分な説明と、創の小さい低侵襲な手術を常に心がけ、将来的な機能の温存に努めています。また、悪性腹瘍や肝胆道系疾患、短腸症候群、ヒルシュスプルング病などの希少疾患は、鹿児島大学病院小児外科とも連携をとりながら診療を行っています。
また当院は、国内の公立病院としては最大級の新生児センターを有しており、年間30 ~40例の新生児外科手術も行っています。新生児センターには、全国でも珍しい新生児専用の手術室やOperaシステム(独ドレーゲル社製)が導入されており、重症の赤ちゃんを別階の中央手術室まで移動することなく手術することができます。これらの最新のシステムを利用し、超低出生体重児の緊急手術や、横隔膜ヘルニア等の重症疾患の手術、ECMO (膜型人工肺)治療なども行っています。
毎週水曜と金曜の小児外科外来においては、当院で手術を受けた患者さんのフォローだけでなく、便秘相談なども行っています。お子さんの病気についてのご相談やご不明な点などありましたら、どうぞ小児外科外来へお問い合わせ下さい。
当科で扱う主な外科疾患
日常的に見られる疾患
鼠径ヘルニア、陰嚢水腫、停留精巣、臍ヘルニア、乳児痔瘻
頭頚部疾患
正中頚嚢胞、側頚瘻、梨状窩瘻
胸部疾患
漏斗胸、気胸
消化管疾患
虫垂炎、腸重積症、肥厚性幽門狭窄症、メッケル憩室、胃食道逆流症、腸閉塞
泌尿生殖器疾患
急性陰嚢症、卵巣嚢腫
腫瘍
血管奇形・リンパ管奇形、良性腫瘍
新生児疾患
食道閉鎖症、十ニ指腸閉鎖症、腸閉鎖症、腸回転異常症、横隔膜ヘルニア、臍帯ヘルニア、腹壁破裂、ヒルシュスプルング病、鎖肛(直腸肛門奇形)
救急疾患
胸部・腹部臓器損傷、消化管異物
診療実績(2019/4/1~2022/3/31の3年間)
手術症例数
・総手術件数 990件
・腹腔鏡手術 374件
主な疾患別の手術件数
・鼡径ヘルニア 365件
・停留精巣 111件
・臍ヘルニア 53件
・虫垂炎 124件
・胄食道逆流症 10件
・新生児手術 107件
学会認定施設など
・日本小児外科学会専門医制度認定施設
スタッフ紹介
氏名 | プロフィール |
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部長 鳥飼 源史 |
認定医・専門等資格
専門分野
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科長 松久保 眞 |
認定医・専門等資格
専門分野
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医員 |
認定医・専門等資格 |
外来診察・担当医師
研修医の先生へ
現在は小児外科医師4名(うち1名は新生児センター所属、指導医は2名)で小児外科診療を行っています。小児鼠径ヘルニアや急性虫垂炎等の基本的外科疾患の診断から治療、術前術後管理はもちろんのこと、直腸肛門奇形やヒルシュスプルング病といった小児外科特有の診療経験もできます。新生児外科症例が多いことも当院の特徴の一つです。
当院は日本小児外科学会認定施設・教育関連施設に指定されており、ここでの経験は小児外科専門医、小児外科指導医を取得するための研修指数となります。