がんゲノム医療連携病院
がんゲノム医療を受けられる施設は、厚生労働省によって指定されています。がんゲノム医療を牽引し臨床試験や治験を担う「がんゲノム医療中核拠点病院」、がんゲノム医療中核拠点病院と連携し治療にあたる「がんゲノム医療連携病院」、中核拠点病院と連携病院の間に位置づけられ単独で治療方針の決定ができる「がんゲノム医療拠点病院」があります。当院は、2021年4月にがんゲノム医療連携病院に指定されました。
2019年6月にがん遺伝子パネル検査が保険収載されて以降、鹿児島大学病院にお願いしていたがん遺伝子パネル検査を当院でも出検出来るようになりました。がんの主な原因が遺伝子変異である以上、これからのがん診療ではゲノム医療によるがん患者一人一人に適切な個別化治療を提供することと考えられます。
1)がんゲノム医療とは
ヒトの体は約37兆個もの細胞からなっています。細胞のなかには「核」と呼ばれる大切な部分があり、その中に約2300個と言われる遺伝子を乗せた「染色体」が入っています。
ゲノムとは染色体に含まれるすべての遺伝子と遺伝子情報のことで、いわばカラダの設計図のようなもので、一人一人違っています。
がんは、このゲノムの変化に伴い、遺伝子が正常に機能しなくなった結果、起こる病気です。がんゲノム医療とは主にがんの組織を用いて多数の遺伝子を同時に調べ(がん遺伝子パネル検査、)遺伝子変異をあきらかにすることにより、一人一人の体質の合わせて治療などを行う医療です。
2)がん遺伝子パネル検査とは
がん遺伝子パネル検査は次世代シークエンサーという解析装置でがんに関連する数百種類の遺伝子について1回の検査で解析する検査で、解析結果について複数の専門科で構成される委員会(エキスパートパネル)で診断や治療が検討されます。
3)検査の対象となる人や状態
現在、がん遺伝子パネル検査は誰でも受けられるわけではありません。対象は全身状態が良好で①原発不明がんや標準治療が存在しない稀少がん(頻度のまれな癌)②局所進行もしくは転移があり標準治療終了した(終了見込みを含む)固形がんの患者で、次の新たな薬物療法を希望する場合です。
4)がん遺伝子パネル検査の留意点
検査の結果、遺伝子変異が見つからない場合もあります。遺伝子変異があっても使用できる薬がない場合もあり、自分に合う薬の使用(臨床試験を含む)に結びつく人は全体の10%程度と言われています。
また、がん遺伝子パネル検査では多くの遺伝子を調べるため、がんになりやすい遺伝子をもっていることがわかる場合があり、将来の健康に対する不安が生じる可能性があります。これに対して遺伝について専門知識を持つカウンセラーによる遺伝カウンセリングが行われています。
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