救命救急センターのご紹介
当院は鹿児島大学病院を除くと県内で唯一の500床以上を有する総合病院です。
歴史は長く昭和43年に頭部外傷センターを設置したのち、昭和60年には救命救急センターを設置しております。
それから当院は3次救急医療施設として、30年の歴史を有する救命救急センターとして鹿児島の救急医療を支えるべく邁進してきました。
救命救急センターは当院の中で救急・集中治療・災害時医療において核になる部門です。順に説明いたします。
救急科専従の救急医を中心に各専門診療科のバックアップの元、多発外傷、重症中毒、全身熱傷、四肢切断、虚血性心疾患、脳血管疾患、小児救急、産科救急、周産期救急など幅広い分野の重症救急患者に対して24時間体制で高度な救急医療を提供しています。
2015年5月に新病院に移転し、病院屋上ヘリポートの新設、旧病院と比べ2.5倍の診療スペース、IVR-CTや320列CTといった関連設備の拡充を行い、診療内容に関しても各専門診療科との連携を深めて一層の高度化を図っております。
鹿児島県全域より重症患者の受け入れを柔軟に行い「鹿児島県の最後の砦」となるべくスタッフ一同がんばっております。
次に、病院前救急診療の基地病院としての役割です。
2011年12月から当院は鹿児島県ドクターヘリ事業の基地病院、2014年10月からは鹿児島市が運用開始したドクターカーの基地病院です。
鹿児島県は、南北約600 kmに渡る海域に本土・僻地・離島と様々な地域を抱えた、非常に特色のある県です。
鹿児島県全域および隣接する宮崎県や熊本県との連携でドクターヘリにて病院前救急医療に貢献を、鹿児島市内では鹿児島市消防局から委託される形でドクターカーにて病院前救急医療に貢献しております。
3つ目に、災害医療を支える「基幹災害医療センター」、「DMAT指定病院」としての役割です。
地震・火災・津波・テロなどの大規模災害発生時に傷病者を受け入れる病院である災害拠点病院は、県内には11ヵ所が指定されています。
当院はこれらを統括する「基幹災害医療センター」でもあります。
また、2009年4月より厚生労働省が主体として整備しているDMAT(災害医療支援チーム)指定病院であり、災害時に活動できる機動性を持ったDMATを2チーム有しております。
年に数回開かれている訓練も行い、各県内のDMAT指定病院とも日々連携を強化しています。
さらに鹿児島大学をはじめとして県内各地から医療従事者の臨床実習を受け入れています。
診療への参加を中心としたさまざまな教育を行っています。
救急救命士に対する病院実習も行っています。
扱う主な疾患・治療
<疾患>
多発外傷、敗血症、重症中毒、全身熱傷、四肢切断、虚血性心疾患、脳血管疾患、
小児救急(小児救急拠点病院)、産科・周産期救急(主に成育医療センター)など
<治療>
多発外傷での蘇生室緊急開胸/緊急開腹(ERT/ERL)、IABO(大動脈内バルーン遮断)
開頭/穿頭血腫除去術、脳圧測定(ICPモニター)、大量出血に対する緊急輸血
急性腎障害・急性中毒に対する急性血液浄化(CHDF)、
敗血症に対するエンドトキシン吸着
補助循環(IABP、PCPS、ECMO)
診療実績
2023年度(令和5年度)
1) 救急外来患者数:6,344人、救急入院患者数:4,194人
2) 当院救急車搬入件数:3,397件
3) ドクターヘリ要請件数 1,437件(受諾件数:939件、うち当院受入件数:247件)
4) ドクターカー要請件数 1,133件(出場件数:1,036件、うち当院受入件数:194件)
救急車応需状況
学会認定施設など
・日本救急医学会 専門医認定施設
・日本航空医療学会 認定制度認定指定施設
スタッフ紹介
役 職 | 氏 名 | 認定医・専門等資格名 |
---|---|---|
救急科 部長 (救命救急センター |
吉原 秀明 |
・日本救急医学会 評議員 |
救急科 科長 (救命救急センター |
髙間 辰雄 |
・日本救急医学会 救急科 専門医 |
救急科 科長 | 大西 広一 |
・日本救急医学会 救急科 指導医 |
救急科 医長 | 江口 智洋 |
・日本救急医学会 救急科 専門医 |
救急科 医師 | 伊福 達成 | ・日本救急医学会 救急科 専門医 |
救急科 医師 | 奥田 龍一郎 |
・日本救急医学会 救急科 専門医 |
救急科 医員 | 米澤 智子 | ・日本内科学会 認定医 |
救急科 医員 | 井田 俊太郎 | |
救急科 医員 | 中馬 直人 | |
救急科 医員 | 中村 茂宏 | |
救急科 医員 | 木許 広太郎 | |
救急科 医員 | 萬福 歩夢 | |
嘱託医(院外) | 上田 剛 | ・日本救急医学会 救急科 専門医 ・日本内科学会 認定医 ・日本集団災害医療学会 |
嘱託医(院外) | 井上 尊文 |
・日本内科学会 総合内科 専門医 |
嘱託医(院外) | 覚本 雅也 |
・日本麻酔科学会 麻酔科 指導医・専門医 |
嘱託医(院外) | 福留 啓吾 | ・日本医師会 認定産業医 |
嘱託医(院外) | 下野 謙慎 |
・日本救急医学会 救急科 専門医 |
嘱託医(院外) | 佐藤 満仁 |
・日本救急医学会 救急科 専門医 |
嘱託医(院外) | 坂元 健一 |
・日本脳神経外科学会 指導医・専門医 |
嘱託医(院外) | 嶽﨑 佑介 | |
嘱託医(院外) | 平瀬 雄規 |
・日本救急医学会 ICLS インストラクター |
嘱託医(院外) | 安武 祐貴 | |
嘱託医(院外) | 大川 大輔 | |
嘱託医(院外) | 渋谷 謙一 | |
嘱託医(院外) | 平田 悠哉 | |
嘱託医(院外) | 益田 大夢 | |
嘱託医(院外) | 岩永 千尋 | |
嘱託医(院外) | 瀬尾 浩希 | |
嘱託医(院外) | 梶原 伸介 | |
嘱託医(院外) | 川原 加苗 |
・日本救急医学会 救急科 専門医 |
嘱託医(院外) | 濱 義明 |
・日本救急医学会 救急科 専門医 |
嘱託医(院外) | 山根木 美香 |
・日本救急医学会 救急科 専門医 |
嘱託医(院外) | 黒田 亮太 |
・日本救急医学会 救急科 専門医 |
嘱託医(院外) | 梅田 幸希 | ・原子力安全研究協会 登録医 |
嘱託医(院外) | 成田 正雄 | ・日本医師会 認定産業医 |
嘱託医(院外) | 川上 翔平 | |
嘱託医(院外) | 稲葉 大地 | |
嘱託医(院外) | 山尾 幸平 |
・日本外科学会 専門医 |
嘱託医(院外) | 勝江 達治 |
・日本救急医学会 救急科 専門医 |
嘱託医(院外) | 大平 将敬 | |
嘱託医(院外) | 坪内 大樹 | |
嘱託医(院外) | 相良 滉太 | |
嘱託医(院外) | 改田 祐紀 | |
嘱託医(院外) | 福本 綾香 | |
嘱託医(院外) | 野間口 一輝 | |
嘱託医(院外) | 野口 航 | |
嘱託医(院外) | 中尾 康介 |
僻地・救急医療を志す研修医の皆さんへ
鹿児島県は、南北約600 kmに渡る海域に本土・僻地・離島と様々な地域を抱えた、非常に特色のある県です。
鹿児島市立病院は救命救急センターを有し、地域の重症傷病者を数多く受け入れてきました。研修医の先生方にも、軽症から重症まで、上級医師の指導の下、救命救急センター外来での救急症例診療や、その後の集中治療などを経験する機会もあります。同県が2011年度に新規導入したドクターヘリコプターの基地病院でもあり、同市が2014年度に導入したドクターカーの基地病院でもあります。これらによる病院前救急診療は全国屈指の活動数であり、かつ、研修医を含めた若い医師にとって病院前救急診療の経験の機会は全国のどの病院よりも多いと思います。また県内11ヵ所の災害拠点病院を統括する基幹災害医療センターとして、さらに「災害時に活動できる機動性を持ったトレーニングを受けた医療チーム」を有するDMAT指定病院として災害医療の中核をも担っています。
当院救命救急センターは、その中で救急・集中治療・災害時医療において核になる部門です。
2011年度からは、ドクターヘリコプターを導入したことで医療圏を拡大し、救急医療資源を地域に投入するいわば「守り」から「攻め」に転じた救急医療に変換したといえます。
重症外傷や急性期疾患の集中治療にも力を入れています。特に多発外傷では、各科の専門診療を進める上で非常に重要な全身(呼吸循環)管理を当センターが担当しています。また心肺蘇生後の低酸素脳症に対しては、脳機能回復を目指して最新のエビデンスに基づいた脳低温療法を施行し、比較的良好な結果を得ています。
また災害時医療に関しては、基幹災害医療センターとして患者を受け入れるだけでなく、DMAT 2チームを有することで県外への派遣とその後方支援が可能となりました。
このように当救命救急センターは、県内の救急医療の「最後の砦」という重責を担ってきたといえます。そしてその実績から、勤務を希望する医師・看護師の数も漸増してきてはいますが、決して充足しているとはいえません。
当センター医師の専門分野は、救急科のみならず外科・内科・小児科・脳神経外科・循環器内科・整形外科・形成外科・産婦人科など多岐にわたっており、研修医が副専門分野を習得する上で有利です。またドクターカーやヘリコプターを用いた救急活動を短期間で経験できる可能性もあります。
当救命救急センターでの臨床研修は、これからの鹿児島の救急医療システムの構築の一役を担いつつ、広く深く学べる絶好の機会であることを保障します。
〝いざ集わん、熱き鹿児島へ!〟